会社設立と機関設計のパターン

 

会社法において、すべての株式会社には「株主総会」と「1人又は2人以上の取締役」を設置さいなければならないと規定されております。

 

この「株主総会」「取締役」などが、会社を経営・構成するの機関のひとつで、この項ではそれらを含め、会社の機関設計について解説いたします。

 

さて、機関設計というと、なにやら難しく思えますが、簡単にいうと、

1. 会社を誰が所有し、

2. 会社を設立してどのような目的で、 

3. 誰がどのような役職(機関)で経営して行くかを考えることにあります。

 

機関設計を考えるうえで、この会社の所有の考え方が非常に大事であり、会社の機関(組織)を設計するに大きな影響を与えますので、まずこれについて解説させていただきます。

 

株式会社の所有について

 

会社の所有者は資本金の出資者である株主であり、資本金(株式)の51%以上を保有すれば、大半の意思決定(経営権)はその株主が握ることになりますが、その株式を得る手段のひとつである譲渡の面で、

 

1. 株式の譲渡が自由な「公開会社」・・・所有と経営が分離

2. 株式の譲渡が制限される「株式譲渡制限会社」・・・ 所有と経営が一致

 

という2種類の会社形態があります。

 

会社法において機関(組織)設計には一定のルールがあります。

 

たとえば冒頭の「すべての会社には株主総会と1人又は2人以上の取締役の設置が必要」などは、会社の形態に関係ない共通ルールですが、この株式譲渡が自由か否かという、2種類の会社形態において機関設計に大きな違いをもたらします。

 

その違いの一端を説明いたしますと、譲渡制限会社以外の会社は取締役会を設置しなければなりません。

(譲渡制限会社は取締役会の設置は任意です) さらに、取締役会を設置する場合、

  • 監査役 
  • 三委員会 
  • 会計参与

このいずれかを設置しなければならないとされております。(このルールは譲渡制限会社以外の公開会社は株式の譲渡が自由ということで、利害関係者のために、会社の内容をより厳しくチェックするため設けられたといえます)

 

これに対し、株式譲渡制限会社ではこの縛りはなく、社長も株主も自分一人という場合、「株主総会」と「1人または2人以上の取締役」を設置すれば会社の機関(組織)設計はできたことになります。

 

どのような機関(組織)で経営していくか以上の点を踏まえ、機関設計について、より設立しやすいA・Bのパターン、新会社法以前の従来型のCのパターンをご紹介いたします。

 

A 株主総会+取締役1名株主は自分1名ないし他に1名以上、取締役(社長)は自分1名      

 

B 株主総会+取締役2名以上株主は自分1名ないし他に1名以上、取締役(社長)1名他に取締役1名以上     

 

C 株主総会+取締役3名以上+取締役会+監査役 

株主は自分1名ないし他に1名以上、取締役(社長)1名他に取締役2名以上、監査役1名以上・・・取締役会を設置する場合は必ず監査役を置かなければなりません。

 

会社の機関設計のパターンは他にもありますが、ここでは割愛いたします。

 

いずれにしろ機関(組織)設計は、発起時点の実情に合わせ選定されることをお勧めします。